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JA7DPH(アマチュア無線局)は昭和40年8月八戸市にて開局しました。

Aoba-ku Sendai-city 989-3204 JAPAN
Loc:QM08 ITU:45 CQ:25 JCC:0601

Hallicrafters DD-1

Hallicrafters DD-1 Skyrider Diversity 受信機


【 以下、JA1XF/芳野電通大名誉教授の解説記による。】
 1925年以降世界の長距離通信が超長波から短波に移行した。しかし、短波帯は電離層の不安定性のため、受信信号の状態は所謂フェーディング現象により受信電界強度の変動、移送変動の影響を受け、時間の経過に応じて不規則に変動する。
 これを改善し安定良好な受信信号を得るために、2基の受信アンテナをそれぞれ前後左右に数波長離して設置し、それぞれの電離層の異なる反射点を通る受信信号をそれぞれのアンテナに接続した受信機で別々に受信し、双方の受信機の検波出力を合成することにより、改善できることが発見され、多くの短波受信局でこの方法を用いるようになった。この方式をダイバーシティ受信方式と称し、今日まで常識的に用いられている。
 初めのうちダイバーシティ方式は2台の別々の受信機を用いていたが合成の際に、検波出力の合成よりも2台の受信機の中間周波段での合成のほうがより好結果を得られ、また受信信号の相対位相変化に対しては、2台の受信機ミキサー回路に1台の局部発信器の信号を注入する事で、更に良好な受信信号の改善が見られる事が判明してきた。
 Hallicrafters社では、1938年2台の受信機を1台にまとめ、2つのアンテナ入力とミキサー、中間周波数増幅回路を持つ受信機に1つの局部発信器から同信号をそれぞれのミキサーに供給し、また中間周波数増幅器で2つの受信信号を合成する回路を経て、1つの音声出力を持つ画期的な受信機を開発し、DD-1 Skyrider Diversity 受信機として販売した。
 当時はこのモデルは画期的な受信機として、多くの短波放送受信局に供給された。正確な生産数は250〜500台といわれていたが、今日の詳しい調査では、約100台であったとされ、今日、完全な形で残存している受信機は、ここ(電通大/UECコミュニケーションミュージアム)にあるものが世界で唯一である。
 受信機は全面パネルのスイッチにより、受信機“A”、“B”および Diversity Mode が選択できる。AおよびB受信機の信号はそれぞれのSメーターで示され、Circuit Balance メーターの指示は、2つの受信機の高周波増幅器の利得(Gain)のバランス状態を示す。
 一方の受信機の回路構成は、ハイGm管“1851”による高周波2段増幅、6L7ミキサー、6K7、6L7による中間周波2段増幅、6H6検波、2台の受信機に共通の局部発信器には堅固なダイキャストケース内に、1本の電力増幅管6K6が収められ、ダイバーシティ合成“ヘテロトーン”発信管には1本の 6J5 を、低周波増幅は 2回路の 2A3 のプッシュプル増幅回路が用いられている。その他の各回路を含む真空管の総数は26球である。
(JA1XF/芳野先生から直接お話を聞くことが出来ました。)

【 所蔵:電通大/UECコミュニケーションミュージアム


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