本文へスキップ

JA7DPH(アマチュア無線局)は昭和40年8月八戸市にて開局しました。

Aoba-ku Sendai-city 989-3204 JAPAN
Loc:QM08 ITU:45 CQ:25 JCC:0601

FT-901SD修理の顛末記RECRUIT

長年愛用のFT-901SDが突然故障!
(画像にマウスを置くと画像が切替り、さらにクリックで別写真にリンクします。)



 ●● FT-901SDという無線機について ●●

(画像をクリックすると拡大します。)

 私がアマチュア無線を始めた頃、1960年代の無線機は全てが真空管でした。ほとんどが手作りの時代で、送信機と受信機をそれぞれ別々に製作していました。
 終段の球はUY-807というST管を使い、辛うじて10Wの出力が出せるAM波の時代でした。その後、時代が進むにつれて、真空管もST管やGT管からMT(ミニチュア)管の時代へと変わり、1970年代に入るとIC・トランジスタ化が急激に進みました。
 ちょうどその頃、各メーカーからは競い合うようにして、高級機が続々と開発・販売されました。それから4〜5年が経ち、1970年代後半には、アナログ周波数表示からデジタル表示へと変化して、表示窓もカラフルな液晶化時代に移りつつありました。
 1977年から発売された、八重洲無線のFT-901シリーズでしたもそうでした。周波数がアナログ表示のFT-901E(100W機)とFT- 901S(10W機)をベースモデルとし、デジタル周波数表示のFT-901D(100W機)とFT-901SD(10W機)へと、続々と開発・販売されました。
 それは、他メーカーのトリオ/ケンウッドやアイコムなども、デジタル表示の液晶化などに向けてしのぎを削っていました。
 私が購入したのは、1980(s55)年のFT-901SD(後に100W改)で、ドライバ管が12BY7A〜終段PA管は6146Bという真空管とIC・トランジスタとのハイブリット型のトランシーバーでした。
 ちなみに、シリーズの最上級機であるFT-901DM(100W機)の価格は⇒268,000円で、当時としてはかなり高額なものでした。

 ●● 故障部位の推定と修理作業 ●●
 2020年春から始まった、新型コロナ騒動のため自宅での巣ごもりが多くなり、これまであまり電源を入れる事が無かった古い無線機にまで、頻繁にスイッチが入り電波が出されることも多くなっていました。
 この様な中、2020年10月10日夜に事件? が発生しました。たまたま、HF帯をワッチ受信していたところ、無線機FT-901SDのケース中で凄まじい爆発音がして、白煙がモウモウと吹き上がりました、、。
 爆発音は「パーン」という乾いた音でしたが、机上・目の前の出来事であり、とても驚きました。長年にわたり通信関係の現場仕事に携わりましたが、目前で電解コンデンサがパンク(破裂)したのは初体験でもあります。
 バンクした電解コンデンサの残骸は見たことが有りますが、爆発音と白煙を目の当たりにしたのには、びっくり仰天でした。(^_^;)
 白煙とともに無線機は停止しましたが、なぜかしら液晶パネルの表示だけは点灯していました。(大幅にズレたおかしな周波数値を表示、この時点でVFO電源DC6Vが停止していたのですね、、。)
 夜も更け遅かったので、ケースを開いての解体は翌日に持ち越すことし、その夜は取り敢えず就寝。
 翌日朝、興味津々でケースのネジを外し、上ふたを開いたところビックリ。ケースの中は爆発の痕跡で、惨憺たる状況でした、、。
 あたり周辺は、破裂したコンデンサの内蔵物飛散のほか、近接ダイオードの破壊、抵抗機の焼損など、派手に飛散・焼損している有り様でした。
 故障のプリント基板は、明らかにサブ電源盤であり、各基盤へのDC6V回路が機能停止の状況となっていました。

凄まじい電解コンデンサのパンク!! (^_^;)
(画像にマウスを置くと画像が切替り、さらにクリックで別写真にリンクします。)


 ●● 電解コンデンサのパンク(劣化による破裂) ●●
 一般的な知見では、電解コンデンサの寿命は十数年ほどだと思われます。業務用の整流器などは、10年程度経過したころに予防保全として逐次のコンデンサ交換を行なっておりました。
 今回発生した電解コンデンサの破裂は、過去事例のとおり、しごく当然の事でもあります。何しろ40年も経過しているわけですから、パンクしないで正常に動作していること自体が不思議なくらいです。

 ●● 電解コンデンサはあまり進化していない? ●●
 電解コンデンサは主に電源回路など、AC〜DCのパワー系に用いられますが、他のパーツに比べて、それほどダウンサイジングなど、進化・改良されていない様な気がします。
 自分なりの推測ですが、電解コンデンサに代わるようなバーツ開発が難しく、コスト的にも高くつくのでしょうかね、、。特に、外観サイズが思ったほど小さくなっていません。
 新旧のコンデンサの写真にもありますが、せいぜい半分くらいのサイズにしかなっていませんね、、。
 電解コンデンサ以外の部品はどんどん小さくなり、ICの中に組込まれたり、集積度の高い基盤構成にもなっていますが、電解コンデンサの類い、特に電源系の構成には大きな進化が見えないのは、構造などの技術的な限界も有るのでしょうか、、。
 修理を趣味とする、団塊の「ラジオ少年」としては、適度に大きい方が扱いやすい。集積度も丁度30年くらい前の時代(1990年代前半)に製造された無線機、ピンセットと半田ごてが自由に使える様な基板構造が弄り易く楽しいので、古い機種といえども、とても捨てがたい。

 ●● 骨董無線機に厳しい新スプリアス基準!! ●●
 今回修理のFT-901シリーズ機種は、修理しやすく、いじり遊びには最適の機種です。しかし、新スプリアス認定の対象外機種とやらで、免許状に記載された使用期限も残り少なくなりました。
 そして昨今は、自作や改造したりの「無線技術追及の趣味としてのアマ無線」は忘れ去られて、高価なメーカー品しか使えない免許制度となりました。高価なメーカー品を買えないアマ無線(無銭)家のひがみかも知れませんが、古き良き時代の「素人無線家」が大勢いた頃が懐かしい、、。
 とても理不尽ではありますが、今回生き返った無線機FT-901SDも、局免許の規定/新スプリアス基準を満たさない古い機種に指定され、間もなくお蔵入りの状況となりました。
 電波法によると、間もなくの訪れる時限、2022(R4)年11月30日以降は使用できない事となります。
 まだまだ使える無線機なのに、もったいない気がすると同時に、どこかでアマチュア精神が置き去りにされたは国の政策に対して、憤りを禁じえません、、。
 最近は、若い人のアマ無線離れが急速に進み、今やアマ無線は高齢者独占の趣味となりました。
 このチャンス到来を逃さずに、時々ラジオ修理の達成感を味わいながら、新しいアマ無線/デジタル通信を楽しみたいと思っています。 (^_^)/~

故障修理に挑戦するも パーツ交換など悪戦苦闘 (^_^;)
(画像にマウスを置くと画像が切替り、さらにクリックで別写真にリンクします。)


 ●● プラグイン式の基盤はメンテには最高!! ●●
 パンクしたコンデンサは⇒C1006/250V22μFのアルミシースの電解コンでした。同一規格品(@65円)が見つかり、購入する事としましたが、現在の規格品は一回り小さいものでした。技術の進歩で、少し小さくなっているのですね、、。 (^_^)v
 コンデンサパンクの衝撃で隣に有ったダイオード、D1003/10D10(耐圧1kv1A)が跡形も無く吹っ飛んでいました。 (^_^;)
 パーツをweb検索するも、同名のダイオードはとっくの昔に製造中止で、中古の在庫品も見当たりませんでした。
 タイミングよくヤフオクに載っていた代替品を探し当て、1N4007(@10円)という5A規格のものに取替えることとしました。
 また、つながりの回路に組込まれていた抵抗⇒R1003/1W470Ωも焼損していたため、3W470Ω(@100円)に取替えました。
 そして、パーツ代は安いのですが、郵送料の方が高くつく事に多少の違和感を抱きつつも、ヤフオクで簡単に手に入る有難さを感じています。

 ●● 昔の無線機は、とにかく重い重い、、(^_^;) ●●
 昔の無線機はとにかく重い。最近修理した無線機は年代の物ばかりで修理作業の際、無線機の重量がズシリと腰に負担がかかってきます。コロナ巣ごもりの時間を活用し、せっせと壊れた無線機修理に励みましたが、その結果重かった無線機のベストスリーは以下の三台です。
 中でも一番重かったのが、@ 八重洲製のFT-901SD⇒18Kg、次に重かったのが、A日本無線製JST-245H⇒12Kg、三番手はBトリオ製TS-780⇒10.1Kgでした。
 いずれの無線機も年代物で骨董品の部類となりつつありますが、鉄製筐体の堅牢さに相まって、がっしりとした電源部など金物の重さですね、、。
 団塊の「ラジオ少年」も前期高齢者となりましたが、中腰で持ち上げたりの修理作業は、腰の負担となり腰痛発症に悩まされます。修理作業にかかる前には、筋トレ・体力作りからですね、、。 (^_^;)

電解コンパーツ交換は順調に進みましたが、
 思いがけないところに故障原因が、、。(^_^;)

(画像にマウスを置くと画像が切替り、さらにクリックで別写真にリンクします。)



 ●● パーツ交換は順調でしたが、、。 ●●
 破裂した電解コンデンサののほか、焼損の抵抗器、破損のダイオードなどのパーツ交換は部品の購入とともに順調に推移していました。唯一つの測定チェック手段である「テスター」に寄れば。各基盤機に供給するDC6Vの出力が無い事が判明し、おそらく電源レギュレータだろうとの推測の元、早速中古ICを探し当て、購入し交換作業を実施しました。
 ところが、頼みの綱、DC6Vの出力は有りませんでした。途方に暮れながら、推測の誤りか?、全く別な基盤に原因があるのだろうか、、。との思いで、考えられる基盤プリントをテスター一丁で探りまくりました。
 結果は、なんと基盤プリントの亀裂断線でした。この探求が出来たのは、回路図の詳細が有ったためにほかなりません。
 もともと、FT-901は個別プラグイン方式のため。メンテナンス性は優れていましたが、このことが幸いし、引き抜いたブリント基盤を隅々までテスターで測定することが出来、原因の特定に繋がりました。
 それにしても、まさかブリントが破断しているなんて考えも及びませんでした。爆風の瞬圧による断裂ですね、、。(^_^;)

 ●● パーツ交換から学んだこと、、。 ●●
 この無線機、FT-901は製造から40年を経過し、新スプリアスの認定機種からも除外される位古い機種、昭和のレガシィ的な存在となりました。いったん故障すると、メーカーのほか修理対応をしてくれるお店自体が見つかりません。
 仮に、故障パーツを特定できても、とっくの昔に製造中止、代替パーツの入手も困難な状況です。まれに、ヤフオクなどでマニアックなサイトから見つけ出す事もありますが、これからは増々難しくなるものと思っています。
 ならば、同類機種のジャンク品を探り当てて、部品取りなどをしながら、復旧対応をしていくことが賢明かもしれません。10数年前には、自分も同機種のFT-901SDを予備品として購入し保有していました。が、保管場所や管理が面倒となり、一旦手放してしまいました。
 もちろん、ジャンク無線機は⇒ICやトランジスタ、ダイオード・抵抗器などの部品取りとしての活用は期待できますが、電解コンデンサの類いは結局劣化が進むため、部品取りの対象とはなりませんね、、。
 でも、特殊品である周波数表示の液晶パネルなどは、貴重な取替え部品となりますので、大切に保管したいものです。
 いずれにしても、古い無線機には「染み込んだ思い出と愛着」が有ります。古くなり壊れたからと言っても、簡単に鉄屑・ゴミ箱行として捨てるのには忍び難い思いがある。
 何とかして直して復活・再生させながら、末永く使いたいと思う今日この頃です。 m(_ _)m

【復活したFT-901SDと回路図】
(サムネイルをクリックすると拡大します。)


トップページへ戻る /次へ

バナースペース