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JA7DPH(アマチュア無線局)は昭和40年8月八戸市にて開局しました。

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Loc:QM08 ITU:45 CQ:25 JCC:0601

FT-3700修理の顛末記UIT

FT-3700(JA7DZ局からの寄贈品)を修理
(画像にマウスを置くと画像が切替ります。)



 ●● FT-3700は当時の傑作機です! ●●
 この無線機は1986(s61)年頃に発売されたモービル機の様です。プリント基盤は堅牢なアルミダイキャストケースに収められ、車体振動などから守られている気がします。
 しかも、ヒートシンクをダイキャストケースと一体構造とすることで放熱効率を高め、結果して空冷ファンを省略できている事にも感心させられました。
 また、基盤の高周波的なシールド構造がなり念入りに製作されています。特にUHF部のTRXは徹底した構造であり、設計者の熱い思いが伝わってきます。
 【定 格】
  ・送受信周波数・・・・・・・144〜146MHz、430〜440MHz
  ・電波型式・・・・・・・・・・・F3、F2(AQS)
  ・送信出力・・・・・・・・・・・25W
  ・受信方式・・・・・・・・・・・ダブルスーパーヘテロダイン
  ・スケルチ感度・・・・・・・FM⇒0.1μV以下(感度良好)
 ※1968年当時⇒UVHF-25W機で、この大きさ・重さは驚異的な小型化です!
  ・ケース寸法・・・・・・・・幅150×高さ50×奥行168mm
  ・本体重量・・・・・・・・約1.5kg

 ●● 故障の状況について ●●
 この無線機は某OMからの頂き物です。OMが仲間との連絡用として使っていたものの様でしたが、20年ほど前、自宅新築記念にANTと一緒に頂戴しました。
 VHF+UHFとも正常に動作する25W機で、ケースには傷・錆なども無く、とてもきれいな状態でした。
 OMは10年ほど前にお亡くなりになりましたが、その後はOMが残した形見の無線機として、普段は机の無線機ラックに飾りっておりました。
 ある日久々に電源を入れ、スキャン機能を使いながらワッチを楽しんでいたところ、時々受信が途切れることが有り、なにかおかしいなぁ〜くらいに思っておりました。
 それから暫くして、いつもと同じように、スキャン機能を使って、VHF帯/144MHzをワッチしておりました。
 ところが、いつまで経ってもスキャンが止まらず、受信機の異常に気付きました。別な無線機(現用機)では交信中の信号確認出来るものの、この無線機では全く受信出来ていませんでした。
 ハンディ機をSG代わりに受信感度をチェックした結果、著しく感度が低下していることが分かりました。(VHF/144MHzのみ不具合、UHF/430MHzは異常なし)
【故障部位の推定】
 @ 調整ズレでは無い?⇒高周波増幅部にかかるコンデンサやコイルの
   トリマーの調整を試みても、 現状以上の感度改善がみられない。
 A FET不良?⇒過去に別な無線機において、高周波プリアンプ部のFETが
   不良で、代替品と交換し復旧させた事がある。
 B 今回の現象も似たような現象?⇒おそらく初段のFET(MOS)だろうと推定。

故障修理に挑戦するも パーツ交換など悪戦苦闘 (^_^;)
(画像にマウスを置くと画像が切替り、さらにクリックで別写真にリンクします。)


 ●● FT-3700の故障修理に挑戦するも途中で撤退! ●●
 不良と推定されるFET交換を試みましたが、すでに製造中止の部品、型番は3SK24Lとやらでした。秋葉原あたりに行けば、代替品は有りそうなのですが、WEB検索では探し当てることが出来ませんでした。
 ネット上の情報では規格が近いFETに交換すると復旧したとの事例も有ったので、ダメ元を覚悟で、手持ちのFET-3SK59を代替品として交換してみることとしました。
 ところが、基盤の密集度が高く、繊細なプリント配線がぎっしり、スルーホールの間隔がとても狭くて、部品交換はかなりの難儀作業でした。
 そして部品交換を完了し、淡い期待のもと電源SWを入れましたが、不具合はまったく改善されず、故障は継続のままでした。
 もし代替のFETが見つかったとしても、基盤のプリント配線があまりにも微細で、老眼鏡にハズキルーペの重ねがけでは、パーツ交換の難度を考えると、とても手におえないと悟り、この作業から撤退する事としました。 (^_^;)
 残された最後の手段は、同機種のジャンク品を探し当て、基盤ごとソックリ移植する方法ですが、はたしてこんなに古い無線機が手に入るかどうか、見通しの立たない状況でした。
 ところが暫くして、汚れと傷だらけのジャンク品ではありましたが、ヤフオクで売りに出されている事を発見しました。
 さっそく落札購入、不具合プリント基板の移植作業を実施しましたが、結果は大成功!! \(^o^)/
 落札価額は4千円と格安、仕様は10W機でしたが、基盤の移植には全く問題ありませんでした。基盤移植の過程で、10W用のPWR-MODULEを25W用の元規格品に付け直して、完全に復活させる事に成功しました。
 まずは一件落着。先輩から記念に頂いたモービル機も、今は形見の品となりましたが、現役復帰させることが出来たことに、めでたし、めでたしの達成感を味わうことが出来ました。 v(^_^)v

UHF部の構造から設計者の熱い思いが伝わります。
(画像にマウスを置くと画像が切替ります。)


  ●● モービル機の技術の粋を感じます! ●●
 プリント基盤は挿入実装(IMT:Insertion Mount Technology)であるものの、各部品の密着度が高くて、私のような老眼では半田鏝の操作もままなりません。
 とにかく、部品の密集度が高く、プリント基板の作りもかなり微細の構造となっています。高周波的シールド構造も完璧で、上図写真からも分るように、厚めのアルミカバーの止ねじには、わざわざ皿小ねじの切込みを程されているほどの念の入れようです。
 仮に、コストパフォーマンスを追求した設計思想であれば、そのような発想は生まれないはずであり、設計者の熱き思いが伝わります。
 1980(s55)年頃までに製作された無線機は、私のような団塊世代の「ラジオ少年」にも修理が可能でした。
 時を経て、FT-3700のが製作された頃(1986/s61年頃)以降のプリント基板修理は、ハーツの集積度も高くなり、程なく採用されたプリント基板の表面実装(SMT)の機種については、全く手も足も出なくなりました、、。 (^_^;)

メモリ・バックアップ用リチュウム電池交換!
(画像にマウスを置くと画像が切替ります。)


 ●● メモリ機能の不具合修理 ●●
 この無線機は1986(s61)年頃に発売されたモービル機、今(2024年)から38年も前に製作されたものです。メモリ機能の不具合はかなり前から気付いていて、リチュウム電池の消耗だろうと推定をしていました。
 が、普段使う分にはあまり不都合も感じないでワッチ用のサブ機として運用しておりました。
 この無線機は某OMからの頂き物で、思い出深い無線機でもあることから、電池交換の作業にチャレンジすることとしました。
 まずは電池の在り処を確認のため解体開始。電池はかなり狭い隙間のプリント基板にハンダで直付けになっていて取り外しも慎重な作業となります。無理すると基盤破損、周囲の配線を傷付ける危険もあります。
 取り外した電池は⇒リチュウム電池 “CR2032” の文字が辛うじて読み取れるほどの劣化状態。この種の電池は、至近にある百均ショップの「ダイソー」でも見かけた事があるので早速買い求めに走りました。
 百均ショップのリチュウム電池で大丈夫?かなの思いもありましたが、三菱電機のマークが有ったので買う事としました。MADE IN INDONESIAですが、三菱電機製なので信頼できそうです、、。
 驚きの値段⇒なんと 2個セットで100円でした。よって今回の修理費用は@50円という事になります。(^_^)v
 偶然ですが、各バンドのパワーモジュール(25w)も三菱電機製でした。

修理代金(リチュウム電池)は@50円でした! v(^_^)v
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 ●● 電池交換後の動作は良好です! ●●
 メモリーチャンネルの復活で10チャンネルのメモリーのほか多機能が一挙に復活しましたが、あまりにも機能が多すぎて使いこなせそうには有りません。(^_^;)
 修理の過程でいろいろなwebサイトを参照しました。“FT-3700”のweb検索ではマニアックな方々の多くの修理情報が有ることも驚きでした、、。
 これらの情報から知り得たのですが、この無線機には大容量のCPUが2個搭載されていて、AQS機能を始めとして種々の機能が満載されているようです。
 アナログな私にはその詳細が良く理解できておりませんが、これから少しずつ試行しながら楽しみたいと思っています。(^_^;)


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